DJIとは|ドローン最大手の事業内容と米国の規制動向を紹介

DJIとは|ドローン最大手の事業内容と米国の規制動向を紹介

ドローンと聞いて、多くのビジネスパーソンがまず思い浮かべる企業名は「DJI」ではないでしょうか。空撮用のカメラドローンから、インフラ点検・農業・災害対応向けの産業用機体まで、DJI製ドローンは国内外の現場で圧倒的な存在感を放っています。

一方で米国では2025年12月、連邦通信委員会(FCC)がDJI製品を含む外国製ドローンを「Covered List」(安全保障上の懸念がある通信機器リスト)に追加するなど、その市場での大きさゆえに規制上の焦点にもなっています。

本記事では、DJIという企業の概要と、ドローン市場でここまで強い理由、そして日本国内での展開状況を整理します。

企業概要

正式名称 大疆創新科技有限公司(DJI Technology Co., Ltd./通称:DJI)
創業 2006年(創業者:フランク・ワン/汪滔)
グローバル本社 中国・広東省深セン市(拠点は米国・ドイツ・日本・北京・上海・香港にも展開)
日本法人 DJI JAPAN株式会社(設立2013年8月、東京都港区港南1-2-70)
代表者(日本法人) 本庄謙一(代表取締役)
従業員数 日本200名、グローバルで12,000人以上
事業内容 マルチコプター・ドローンの企画・研究・製造・販売・輸入、撮影機材の開発等
公式サイト 公式サイトを見る

DJIとはどんな会社か

DJIは2006年、フランク・ワン(汪滔)氏によって中国・深センで創業されました。2009年に同社初となる「XP3.1フライトコントローラーシステム」を発売して以降、一貫してドローンの中核技術である飛行制御・撮影機材の開発に取り組んできました。

日本法人のDJI JAPAN株式会社は2013年8月に設立され、東京都港区に本社を置いています。ビジョンとして「世界に先駆ける"空撮システム"」の開発を掲げ、コンシューマー向けのカメラドローンだけでなく、点検・測量・農業・防災といった産業分野にも事業を広げています(参照:DJIについて | DJI JAPAN公式サイト)。

なぜDJIはドローン市場でこれほど強いのか

DJIの強さは、単一の要因ではなく複数の競争優位が積み重なった結果といえます。ここでは主な3つの理由を整理します。

技術の蓄積とスピード

DJIは創業以来、飛行制御・ジンバル(カメラの手ブレ補正機構)・画像伝送という、ドローンの根幹をなす技術を一貫して自社開発してきました。2013〜2014年にはブラシレスジンバル「Zenmuse」シリーズや3軸カメラジンバル「H3-2D」を、2014年には高精細映像をリアルタイム伝送する「Lightbridge」を投入。2016年には障害物認識システムを搭載した自律飛行モードを「Phantom 4」に実装するなど、毎年のように主要技術を刷新してきました。

こうした主要部品を外部調達に頼らず自社で開発・製造する体制(いわゆる垂直統合)は、価格競争力と製品改良のスピードの両方を支える基盤になっています。

コンシューマーから産業用途までの製品網羅

DJIの事業は、個人向けの空撮用カメラドローンだけにとどまりません。法人向け事業では「公共安全」「地理空間」「点検」の3分野を軸に、Matrice 350 RTKやMatrice 4シリーズといった機体、LiDARセンサー「Zenmuse L3」、自動離着陸ドックによる遠隔運用ソリューションなどを展開しています。

DJIが展開する主な事業領域
  • 公共安全:消防活動、災害対応、捜索救助、警備での初動対応支援
  • 地理空間:測量・マップ作成、建設・鉱業、精密農業・林業
  • 点検:電力・石油ガス・再生可能エネルギー・インフラの点検
  • コンシューマー:空撮用カメラドローン、映像機器(Osmoシリーズ)

コンシューマー機で培った量産技術とブランド力を、そのまま産業用途の開発力に転用できる点も、単一分野に特化した競合他社との大きな違いです。

大規模な研究開発投資と人材

深センの本社は、この10年で大きく拡大しました。2015年時点で約3,000人だった本社の従業員数は、2026年には6,000人を超えているといいます。本社機能も「DJI Sky City」と呼ばれる超高層ツインタワーに移転し、基礎研究を行うラボも新設されました。

技術・出来事
2006年フランク・ワン氏が深センで創業
2009年初製品「XP3.1」発売
2013〜2014年ジンバル・画像伝送技術を投入
2016年障害物認識・自律飛行を実装
2015→2026年本社従業員が3,000人超から6,000人超へ

世界シェアと規制当局の視線

DJI JAPANは民生用ドローン市場において「世界シェアの7割」を占めています。(同社発表)

その市場での存在感の大きさは、各国の規制対応からも読み取れます。米国では2025年12月、FCCがDJI製品を含む外国製ドローンをCovered Listに追加しました。なお、この規制は今後FCCの機器認証を新たに申請する新規機種にのみ適用されるものであり、既に認証を受けた既存の機体や、消費者がすでに購入済みの製品の使用・販売継続には影響しないとされています。これに対しDJIは2026年5月、米セキュリティ企業OnDefendによる独立監査結果を公開し、2025年10月から5カ月間かけてAir 3SとMatrice 4Eを検証した結果、「重大・高・中程度のリスク所見はゼロ」だったと反論しています。

さらに2026年7月には、FCCがDJI技術を販売・リブランド化しているとみられる8社に対し、安全保障上の照会への未対応を理由に罰金を提議したことも明らかになりました。DJI以外のブランド名で販売される製品にまでDJI由来の技術が浸透している実態は、同社の技術がドローン産業のサプライチェーンにいかに深く組み込まれているかを示す一例といえます。(参照:FCC Targets Eight Drone Companies With Proposed Fines Over Unanswered National Security Inquiries | DRONELIFE)

AIS Insight

AISが日頃取材しているドローン・GIS・防災・危機管理といった分野を見渡しても、コンシューマー向けの空撮機からインフラ点検、防災、公共安全まで、単一メーカーがこれほど幅広い領域を一貫してカバーしている例は多くありません。この事業領域の広さそのものがDJIの市場影響力の源泉になっていると同時に、脅威と捉えられている節があるのかもしれません

日本国内での展開状況

日本国内でも、DJI製品は正規販売代理店を通じて広く流通しています。DJI正規代理店のシステムファイブは2026年6月、CSPI-EXPO 2026の会期中に「全国DJI販売ディーラー感謝の会」を開催しました。全国各地からDJI取扱いディーラーの関係者が集まり、コンシューマー・デリバリー・エンタープライズの各部門で計9社が表彰されるなど、国内でも継続的にディーラー網が拡大していることがうかがえます(参照:システムファイブ主催「全国DJI販売ディーラー感謝の会」開催! | DRONE.jp)。

産業用ドローンの導入を検討する国内企業にとって、DJI製品は選定の際にまず比較対象となることが多いのが実情です。一方で、前述のような海外での安全保障上の議論を踏まえると、官公庁調達や重要インフラ分野では、機体のセキュリティ認証や国産・準国産の選択肢も含めて検討する動きが今後強まる可能性があります。

まとめ

DJIがドローン市場でここまでの存在感を持つ背景には、創業以来の技術の内製化、コンシューマーから産業用途までを網羅する製品戦略、そして継続的な研究開発投資という3つの要因が積み重なっています。自社発表による7割という世界シェアの数値はそのまま鵜呑みにはできないものの、米国での規制対応の激しさそのものが、同社の市場での大きさを裏付けています。

自社でドローンの導入や調達を検討する担当者にとっては、DJI製品の技術的な強みを理解しつつ、用途や調達先によってはセキュリティ要件・規制動向にも目を配ることが、今後の機体選定における重要な視点になりそうです。

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