プロドローンとは|名古屋発の国産ドローンメーカーの強みと実績

プロドローンとは|名古屋発の国産ドローンメーカーの強みと実績

2026年5月、小泉防衛大臣が愛知県名古屋市の一企業を訪れ、大型の産業用ドローンや開発中の対処型ドローンについて説明を受けました。訪問先となったのが、産業用ドローンの研究・開発・製造を手がける「プロドローン」(法人名:株式会社Prodrone)です。(参照:プロドローン公式サイト ニュースリリース)

無人航空機(ドローン)は、経済安全保障推進法に基づき、2025年12月(令和7年12月)に人工呼吸器・人工衛星・ロケットの部品などとともに「特定重要物資」として政令で指定されており、機体をどの国のメーカーがどこで製造しているかという点への関心が高まっています。(参照:特定重要物資の指定 | 内閣府)

では、国産の産業用ドローンメーカーとして存在感を増しているプロドローンとは、具体的にどのような会社で、どのような技術・実績を持っているのでしょうか。本記事では、プロドローンの会社概要、主力製品、防衛・災害対応における実績、直近の資金調達動向を、公式発表をもとに整理します。

企業概要

会社名 株式会社Prodrone
本社所在地 愛知県名古屋市天白区中平1-115
設立 2015年1月15日
代表者 戸谷俊介氏(代表取締役社長)
従業員数 75名
主要株主 JICベンチャー・グロース・ファンド、KDDIスマートドローン、ジェイテクト、名古屋鉄道など
公式サイト 公式サイトを見る

プロドローンとはどのような会社か

プロドローンは2015年1月、河野雅一氏によって名古屋市に設立された産業用ドローンメーカーです。現在は戸谷俊介氏が代表取締役社長を務め、従業員数は75名となっています。本社・研究開発拠点のほか、スタートアップ支援施設「STATION Ai」内のオフィス、県営名古屋空港オフィス、福島ロボットテストフィールド研究センターなど複数の拠点を展開しています。

同社が掲げる企業理念は「地域から一番信頼されるドローンカンパニーになる」というもの。あわせて「プロドローンでしかできない機体を世界へ」という方針のもと、他社にはない独自性の高い産業用ドローンの開発に注力しているといいます。戸谷代表は自社の目指す姿を「空のスタンダード」と表現しており、高難度な環境下での実証実験にも積極的に取り組んでいます。一例として、風速30m/秒の海上で2時間飛行することを前提とした新型シングルローター機の開発も進めています。

技術面では、産業用ドローンに関する多数の特許を保有しているほか、エンジニアとラジコン(RC)世界選手権経験者のパイロットが連携する開発体制を強みとして掲げています。ISO 9001:2015(品質マネジメント)とISO/IEC 27001:2022(情報セキュリティ)の認証を取得しており、品質・情報セキュリティの両面でも、

経済安全保障を見据えた「純国産」への取り組み

プロドローンの動きの中でも近年特に注目されるのが、2026年4月に発表した純国産ドローンの試作機「SAMURAI Tech」です。試作機「PD4B-MS」は機体重量7.8kg(バッテリー除く)、最高速度60km/h、最大飛行時間は約25分(ペイロードなし)、使用環境温度はマイナス20度からプラス40度までの仕様を備えており、モーター・フライトコントローラー・バッテリーといった基幹部品をすべて国内メーカーと連携して開発・選定した点が特徴です。

同社はこの取り組みの背景として、国際情勢の不安定化やサプライチェーンにおける地政学的リスクの高まりを受け、重要インフラを担う産業用ドローンにおいて「セキュリティ確保」と「安定供給」が急務になっていることを挙げています。

AIS Insight

AISでは以前、自衛隊への納入実績を持つ国産ドローンメーカーのACSLについても取り上げましたが、プロドローンの取り組みは、経済安全保障という同じ文脈をより部品レベル(モーターやバッテリーといったサプライチェーンの川上)まで踏み込んで捉えている点が特徴的です。「どの国のメーカーが作った機体か」だけでなく「機体を構成する部品がどこから来ているか」まで意識する視点は、点検・物流など読者の業務でドローンを選定する際にも参考になる着眼点といえるでしょう。

主力製品ラインナップ

プロドローンは、用途に応じた幅広い産業用ドローンを展開しています。代表的な機体は以下の通りです。

製品名特徴主な用途
PD6B-CAT3最大離陸重量45kg。日本初となる第一種型式認証の取得を目指す大型機有人地帯上空での目視外飛行(レベル4)
PD6B-Type3レベル3.5対応のドローン配送本格運用機体物流・配送
Prodrone GT-M最高時速135kmの高速・長距離飛行が可能高速移動を要する業務
水空一体ドローン空中飛行・水上移動・潜水機能を備えた多機能型水域調査・監視
PD4B-M小型レーザー測量機を搭載できる設計測量・点検
PRODRONE RESCUE災害現場で必要な機能を集約した汎用型機体災害対応・救助活動

(参照:製品情報 | プロドローン公式サイト)

これらに加え、AIエージェントを活用した次世代の地上管制システム「PDGCS-Agent」や、豊和工業と共同開発中の対処型ドローンなど、防衛関連分野を含む新技術の開発も進めています。

防衛・災害対応における実績

プロドローンは、防衛・災害対応の両分野で実績を重ねています。

防衛・災害分野での主な実績
  • 2026年5月、小泉防衛大臣が同社を訪問し、PD6B-CAT3や対処型ドローンなどの機体を視察
  • 2026年2月、航空自衛隊第1警戒隊との災害時連携訓練で15kg相当の物資輸送を実施
  • 2026年1月発生の山梨県上野原市山林火災で機体・人員を派遣し、上野原市消防本部から表彰

小泉防衛大臣の訪問時には、意見交換の後に社内視察が行われ、PD6B-CAT3、AIエージェント活用の地上管制システム「PDGCS-Agent」、最高速度135kmのProdrone GT-M、水空一体ドローンなどが紹介されました。

2026年2月には、三重県津市の航空自衛隊笠取山分屯基地(標高約800m)において、航空自衛隊第1警戒隊との災害時連携訓練が行われました。地上風速8m/秒、上空推定風速10m/秒という厳しい気象条件のもと、大型機PD6B-Type3を用いて15kg相当の糧食・水分を輸送する試験を実施しています。南海トラフ巨大地震のような大規模災害で陸路が寸断された場合の孤立地域への物資供給を想定したもので、自衛隊と民間企業が連携する初の試みだったといいます。プロドローンは機体の提供に加えて、法令順守や運用知識に関する技術協力も行いました。(参照:プロドローン公式サイト ニュースリリース)

このほか、2026年1月に山梨県上野原市の扇山で発生した山林火災では、険しい地形で地上部隊の接近が困難な箇所の上空から状況確認・情報提供を行い、有人機との安全な同時飛行運用も実現しました。円滑な消火活動への貢献が認められ、同年3月に上野原市消防本部から表彰されたほか、JUIDA(日本UAS産業振興協議会)からも感謝状を受けています。

資金調達の動向と今後の展開

プロドローンは事業拡大に向けた資金調達も継続的に行っています。2026年6月には、JICベンチャー・グロース・インベストメンツが運営するファンドから資金を調達し、同社が強みとするドローン技術の高度化・事業化の加速に加えて、愛知県を中心とした国内ドローン産業のサプライチェーン強靭化に役立てるとしています。

これに先立つ2026年4月21日には、Central Japan Innovation Capital(CJIC)が運営する「東海研究開発1号投資事業有限責任組合」からの第三者割当増資を実施したと発表しています。具体的な調達金額は公表されていませんが、CJICは名古屋大学・岐阜大学を運営する東海国立大学機構と資本関係にあるファンドで、プロドローンはこの調達を機にアカデミアとの地域連携を加速させるとしています。具体的には、名古屋大学との共同プロジェクトのもと、物流用ドローンと自動運転車を組み合わせた「三次元交通システム」を愛知県西尾市の佐久島で実証したほか、大学発のDeep Tech(先端技術)とドローン技術の融合にも取り組むとしています。度重なる資金調達の動きからは、名古屋という地域を拠点にしながら、国産ドローンのサプライチェーンや産学連携を強化していこうとする同社の姿勢がうかがえます。

まとめ|部品レベルでの国産化が特徴のプロドローン

プロドローンは、愛知県名古屋市を拠点に、産業用ドローンの自社開発を手がける国産メーカーです。物流・測量・災害対応など幅広い用途向けの機体を展開する一方、防衛省・自衛隊との連携や、部品レベルでの純国産化を進めるなど、経済安全保障を意識した取り組みを強めています。

インフラ点検や測量、物流分野でドローンの導入・活用を検討している読者にとっても、機体そのものの性能だけでなく、開発企業がどのような国産化・サプライチェーンの取り組みを行っているかは、調達判断における一つの視点になり得るでしょう。国産ドローンメーカーの動向は、規制動向とあわせて今後も注目しておきたいテーマです。

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