【2026年版】日本製ドローンとは?国産メーカーの動向と選び方を解説

【2026年版】日本製ドローンとは?国産メーカーの動向と選び方を解説

近年、ニュースや商談の場で「国産ドローン」「日本製のドローン」という言葉を見聞きする機会が増えています。

ドローンはインフラ点検・農業・物流・防災など、幅広い分野で活用が広がっています。それと同時に、機体がどの国で作られ、どこにデータが送られているのかという「出所」への関心も高まっています。国内では、重要施設の周辺での飛行を制限する法律の運用や、防衛装備庁による無人機対策の強化など、ドローンを安全保障の観点から捉える動きも見られるようになりました。

こうした背景のなかで、日本製のドローンの情報を探す方が増えています。ドローンの登録・認証制度は具体的にどうなっているのか。国産メーカーにはどのような企業・製品があるのか。本記事では、制度の基本、国産ドローンが注目される背景、主要な国産メーカーの動向、導入時に押さえておきたいポイントを整理します。

この記事のポイント
  • 安全保障上の懸念を背景に、機体の出所やデータ管理への関心が高まり、国産ドローンが注目されています。
  • 国内で飛行するドローンは、メーカー・原産国を問わず機体登録が義務です。
  • 国内にはACSL・テラドローン・NTT e-Drone Technologyなどのメーカーがあり、導入時は機体認証や運用体制も含めた検討が必要です。

日本製ドローンが話題になる背景

ドローン市場では、これまで海外メーカー製の機体が広く普及してきたといわれています。一方近年は、重要インフラの点検や防災、公共分野でのドローン活用が進んでいます。これにともない、機体の設計・製造元やデータの取り扱いに対する関心が高まっています。

後述するとおり、国内では重要施設周辺での飛行を制限する法律の運用や、防衛装備庁による無人機対応能力の強化といった動きが見られます。これらは直接「国産ドローンへの切り替え」を定めたものではありません。ただしAISでは、こうした一連の動きがドローンという機器そのものへの安全保障上の関心を高め、結果として「日本製ドローン」という言葉への注目につながっていると分析しています。

ドローンに関する主な登録・認証制度

まず押さえておきたいのが、ドローンの飛行に関する国の制度です。これはメーカーや原産国を問わず、日本国内で機体を飛行させる場合に共通して関わってきます。

制度名概要
機体登録制度屋外で飛行させる100g以上のドローン・ラジコン機はすべて登録が必要
機体認証・型式認証制度無人航空機の強度・構造・性能を検査し、安全性を確保する認証制度
操縦者技能証明制度無人航空機を飛行させるために必要な技能を有することを証明する資格制度
レベル4飛行制度有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を可能にする制度

機体登録制度

国土交通省によると、屋外を飛行させる100g以上のすべてのドローン・ラジコン機は、機体登録が義務付けられています。制度は2022年6月20日から開始されました。登録されていない機体の飛行は禁止されています。

登録は「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」でオンライン申請ができます。本人確認にはマイナンバーカードや運転免許証などが利用できます。登録記号の機体への表示や、一定の条件下でのリモートID機能の搭載も求められます。登録の有効期間は3年で、更新申請が可能です。

機体認証・操縦者技能証明・レベル4飛行

機体登録に加えて、より高度な飛行を行う場合に関わるのが「機体認証・型式認証制度」と「操縦者技能証明制度」です。

国土交通省の説明によると、機体認証制度は「無人航空機の強度、構造及び性能について検査を行い、機体の安全性を確保する認証制度」です。個別の機体を検査する「機体認証」と、量産機について型式ごとに検査する「型式認証」があります。飛行の種類に応じて、立入管理措置を講じない特定飛行向けの第一種認証と、立入管理措置を講じた特定飛行向けの第二種認証に分かれ、有効期間は機体認証が1年、型式認証が3年です。なお機体認証は、すべての無人航空機の飛行で必須というわけではなく、特定の条件を満たす飛行が対象となります。

操縦者技能証明制度は「無人航空機を飛行させるために必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する資格制度」です。

これらの制度が整ったことで、2022年12月5日に「レベル4飛行」制度が開始されました。レベル4飛行とは、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行のことです。国土交通省によると、荷物配送や建設現場の測量、災害時の救助活動、橋梁や施設の保守点検など、従来のレベル1〜3では実現できなかった用途への活用が期待されています。

これらの制度は機体の原産国を区別するものではありません。ただし機体認証の取得状況は機種ごとに異なるため、どの機体を選ぶかを検討する際は、認証の取得状況を確認することが実務上のポイントになります。

国産ドローンメーカーの動向と製品例

「日本製ドローン」といっても、国内には産業用途に特化した複数のメーカーが存在します。ここでは、公式サイトで事業内容を確認できる3社の例を紹介します。

企業名主な製品・サービス主な用途
自律制御システム研究所(ACSL)国産産業用ドローン「SOTEN」を主力製品として開発インフラ点検など産業用途、政府・防衛関係者向けの展示・提案
テラドローン測量・点検・運航管理(UTM)・農業・防衛など複数事業を展開する「Terra X」シリーズ(Terra UTM、Terra Roofer、Terra Inspection、Terra Cloud等)インフラ点検、災害復旧、農業、防衛分野の調達対応、海外事業(14カ国)
NTT e-Drone Technology機体・操縦者・データ解析までを一括提供する「おまかせeドローン」橋梁・鉄塔・ダム等の点検、農地点検、鳥獣害対策、測量、災害時の通線作業

自律制御システム研究所(ACSL)は、同社サイトによると、国産産業用ドローンの開発を手がける企業です。主力機体「SOTEN」を展開するほか、「Japan Drone」など主要な展示会に継続して出展し、政府・防衛関係者への製品紹介にも取り組んでいます。

テラドローンは、同社サイトによると、測量・災害復旧、点検、運航管理(UTM)、農業、防衛、海外事業(14カ国で展開)など複数の事業領域を持つ企業です。インフラ点検アプリケーション「Terra Inspection」、屋根点検アプリケーション「Terra Roofer」、データ管理・分析クラウド「Terra Cloud」など「Terra X」シリーズを展開しており、同社発表によると2024年時点の累計案件数は3,500件を超えるとしています。また防衛事業では、国産・国内生産基盤を要件とする調達に採択された実績があるとしています(同社発表)。

NTT e-Drone Technologyは、同社サイトによると、機体の準備からパイロットの手配、航空法対応までをまとめて提供する「おまかせeドローン」というサービスを展開しています。橋梁・屋根・鉄塔・ダムなどのインフラ点検、農地の作付点検、鳥獣害対策、レーザー測量や3Dモデル作成、災害時のケーブルけん引(通線)作業など、幅広い用途に対応しています。AIによるひび・サビの検知機能を組み合わせ、点検精度の向上にもつなげているといいます。

安全保障の観点から見るドローンを巡る動き

ドローンを安全保障の観点から捉える動きとして、国内では以下のような制度・取り組みが確認できます。

まず、内閣官房が所管する「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)があります。この法律に基づき、対象となる重要施設について、施設の敷地とその周辺地域が「対象施設周辺地域」として指定されます。指定の一例として、内閣府本府庁舎や中央合同庁舎第8号館などの周辺地域があります。指定地域の上空でドローン等を飛行させる場合は、飛行開始の10営業日前までに同意を得るための申出手続きが必要です。同意取得のワンストップ窓口は警察庁が担当しています。

また、防衛装備庁は「迎撃ドローン早期取得プログラム」を実施しています。同庁のWebサイトでは、2026年6月8日付で本プログラムの実施についてのページが公開されたことが確認できます。同庁の説明によれば、無人機への対処能力の早期確保を目的としたプログラムです。前述のとおり、テラドローンが防衛分野において国産・国内生産基盤を要件とする調達に採択された実績を公表していることも、こうした流れと重なる動きといえます。

これらはいずれも「ドローンをどう飛ばすか・どう対処するか」に関する制度であり、機体の原産国そのものを直接規定するものではありません。ただしAISでは、重要施設周辺の飛行規制や無人機対処能力の強化といった一連の動きが、ドローンという機器の安全保障上の位置づけへの関心を高めていると見ています。その結果として、機体の出所やデータ管理の透明性を重視する動きにつながっていると考えられます。この点は、企業や自治体が調達方針を検討するうえでも意識しておきたい流れです。

ドローンの主な活用分野
  • 橋梁・プラントなどインフラの点検
  • 被災状況の把握や捜索・救助の支援
  • 山間部・離島への物資輸送
  • 農地のセンシングや農薬散布
  • 重要施設の警備・監視

導入・選定時に押さえておきたいポイント

自社や自組織でドローンの導入を検討する場合、機体が「日本製」かどうかだけでなく、以下のような観点をあわせて確認することが実務上重要です。

確認項目確認内容
機体認証の取得状況導入予定の機種が国の機体認証制度に対応しているか
操縦体制操縦者技能証明を持つ人材による運用体制が整っているか
データの取り扱い飛行データ・画像データの保存先や管理方法が明確か
保守・サポート体制国内での修理・部品供給・アフターサポート体制があるか

特に重要施設周辺での運用や、公共性の高い業務での活用を想定する場合は、機体そのものの性能に加えて、データ管理体制やサポート体制まで含めて検討することが望ましいといえます。

まとめ:日本製ドローンとどう向き合うか

ドローンの登録・認証制度は、機体の原産国を問わず共通して適用される仕組みです。一方で、重要施設周辺の飛行規制や防衛分野での無人機対処能力の強化など、ドローンを安全保障の観点から捉える動きが広がっています。これが機体の出所やデータ管理への関心、ひいては「日本製ドローン」への注目につながっていると考えられます。国内には自律制御システム研究所(ACSL)、テラドローン、NTT e-Drone Technologyのように、産業用途に特化した国産メーカーも存在します。

導入を検討する際は、「国産かどうか」という一点だけでなく、機体認証の取得状況、運用体制、データの取り扱い、サポート体制まで含めて総合的に判断することが実務上のポイントです。ドローンの規制動向やGIS・位置情報分野の関連情報については、AISの他の記事もあわせてご参照ください。


参考文献
- 無人航空機登録ポータルサイト
- 小型無人機等の飛行禁止区域について | 内閣官房
- 防衛装備庁

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