ドローンの包括申請とは?対象飛行・申請方法・注意点を解説

ドローンの包括申請とは?対象飛行・申請方法・注意点を解説

点検・測量・空撮など、ドローンを業務で継続的に飛ばす機会が増えるなかで、多くの担当者が最初につまずくのが飛行許可・承認の申請手続きです。国土交通省の制度では、飛行のたびに日時や経路を細かく指定して申請する「個別申請」に加えて、一定の条件を満たせば飛行期間や場所をまとめて申請できる仕組みが用意されています。それが「包括申請」です。

しかし、包括申請は「具体的にどんな飛行なら使えるのか」「個別申請と何が違うのか」がわかりにくく、申請書を作成する段階で戸惑ってしまう方も少なくありません。本記事では、国土交通省が公表している資料をもとに、包括申請の基本的な仕組みと申請方法、注意すべきポイントを整理して解説します。

この記事のポイント
  • 包括申請は飛行経路を特定せず申請できる制度で、飛行期間は原則3か月・最長1年
  • 空港周辺や高度150m以上、催し場所上空などの飛行は包括申請の対象外
  • 申請はドローン情報基盤システム「DIPS2.0」で実施、事前の機体登録が前提

ドローンの包括申請とは

包括申請とは、無人航空機の飛行許可・承認申請において、飛行の経路をあらかじめ特定せず、日本全国や特定の都道府県といった広い範囲を対象に申請できる仕組みです。国土交通省の資料によると、飛行期間は原則3か月、最長でも1年間として申請する必要があります。(参照:包括申請のご案内 | 国土交通省)

通常、ドローンの飛行許可申請では「いつ」「どの場所を」飛行するかを地図や日時で具体的に特定しなければなりません。包括申請ではこの特定を省略できるため、同じような飛行を繰り返し行う事業者にとって、申請にかかる手間を大きく減らせるのが特長です。想定されている飛行例としては、人又は家屋の密集した地域の上空における目視外飛行および高度30m未満での飛行、あるいは夜間飛行と目視外飛行、30m未満での飛行を組み合わせたケースなどが挙げられています。

ただし、飛行経路を特定しない申請を行う場合は、国土交通省が定める「航空局標準マニュアル02」に記載された安全体制をあらかじめ設定しておく必要がある点に注意が必要です。

個別申請との違い

個別申請と包括申請では、飛行経路の特定要否や申請の手間が大きく異なります。両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目 個別申請 包括申請
飛行経路の特定 必要(地図・日時を指定) 原則不要(全国・都道府県単位)
飛行期間 飛行のたびに設定 原則3か月・最長1年
対象となる飛行 制限なし 一部の飛行のみ利用可(後述)
申請の手間 飛行のたびに書類作成 一度の申請で複数回の飛行をカバー

同一の申請者が一定期間内に反復・継続して飛行を行う場合は、包括申請によって1年を限度にまとめて申請できます。また、飛行経路の特定が必要な飛行であっても、同一期間内に異なる複数の場所で飛行する場合は取りまとめて申請でき、1つの申請につき地図は5つまで作成可能とされています。

なお、複数の許可・承認事項が必要な飛行をまとめて申請する「一括申請」や、事業者代表者やクラブ代表者などが複数の申請者の飛行を取りまとめて申請する「代行申請」といった関連の仕組みも用意されています。代行申請を利用した場合、飛行許可承認後の事実確認等の問い合わせは代行申請者に対して行われる運用となっています。

包括申請の対象となる飛行・対象外の飛行

包括申請は便利な仕組みですが、すべての飛行に使えるわけではありません。国土交通省が公表している資料では、飛行の経路を特定する必要がある飛行、つまり包括申請の対象外となる飛行が明示されています。

包括申請ができない主な飛行

包括申請の対象外となる主な飛行
  • 空港等周辺における飛行
  • 地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行
  • 人又は家屋の密集している地域の上空における夜間飛行
  • 夜間における目視外飛行
  • 補助者を配置しない目視外飛行
  • 趣味目的・研究開発目的での飛行
  • 催し場所の上空における飛行(経路・日時とも特定が必要)

上記のうち、人又は家屋の密集している地域の上空で夜間に目視外飛行を行う場合や、催し場所の上空を飛行する場合は、経路だけでなく日時までを特定した申請が求められます。

一方で、国土交通省の飛行許可・承認申請手続のページでは、人口集中地区(DID、住居や施設が集中しているエリアを指す統計上の地区区分)上空の飛行や夜間飛行、目視外飛行など、この記事のポイントで触れた飛行例については包括申請を利用できるとされています。ただし、無人航空機を飛行させるために必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する資格制度である技能証明を取得し、機体認証を受けた機体を飛行マニュアルに沿って飛行させる場合は、そもそも許可・承認申請自体が不要になるケースもあるため、あわせて確認しておくと良いでしょう。(参照:無人航空機の飛行許可・承認手続き | 国土交通省)

包括申請の申請方法

ドローン包括申請の申請手順

無人航空機の飛行許可・承認申請は、原則として「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」というオンラインサービスを通じて行います。申請から許可書の発行までシステム内で完結し、発行された電子許可書はそのままダウンロードできます。

申請の大まかな流れは次の通りです。

  1. 機体登録の際に取得した認証情報でDIPS2.0にログインする
  2. 飛行許可・承認申請書を作成し、包括申請の場合は飛行させたい範囲(全国・都道府県等)と期間を指定して提出する
  3. 審査を経て許可書が発行されたら、DIPS2.0上で内容を確認する
  4. 飛行前の飛行計画の通報など、必要な準備を行う

そもそも飛行許可・承認申請を行うには、事前に機体登録手続きを完了し、登録記号を取得しておく必要があります。また申請期間の目安として、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前に提出することが求められており、書類に不備があると確認にさらに時間を要するため、3〜4週間程度の余裕を持って準備しておくと安心です。

申請先は飛行内容によって異なり、空港周辺や高度150m以上の飛行は東京航空局長・関西空港事務所長など、それ以外の飛行は東京航空局長・大阪航空局長が窓口となります。申請方法に不明な点がある場合は、無人航空機ヘルプデスクへの問い合わせも可能です。

申請後・飛行後の注意点

包括申請で許可を得たあとも、飛行のたびに気を付けておきたい点があります。まず、飛行後には飛行日誌の作成が必要です。あわせて、事故等が発生した場合は救護義務を果たしたうえで、事故の詳細を航空局へ報告することが定められています。

また、制度は継続的に見直されているため、最新の要件を都度確認することも欠かせません。たとえば総重量25kg以上の機体については、令和7年10月1日以降、第三者賠償責任保険への加入が必須となっています。人口集中地区の定義についても、工業専用地域を除外する見直しが行われるなど、細かな運用ルールが更新される場合があります。

まとめ

包括申請は、飛行の経路をあらかじめ特定せず、原則3か月・最長1年の期間で申請できる制度です。点検や測量など、同じような飛行を反復的に行う事業者にとっては、申請の手間を大きく減らせる仕組みといえます。一方で、空港周辺や高度150m以上、催し場所上空などの飛行は対象外となるため、自社の運用がどの飛行区分に当てはまるのかを事前に整理しておくことが重要です。

飛行の可否を判断する前提として、ドローンの飛行レベルやカテゴリー区分の考え方を押さえておくと、包括申請が使える飛行かどうかも判断しやすくなります。ドローンの制度全体を俯瞰したい場合は、飛行レベルとカテゴリーの違いは?ドローン飛行に関する2つの分類を解説もあわせてご参照ください。

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