近年、ニュースや商談の場で「国産ドローン」「日本製のドローン」という言葉を見聞きする機会が増えています。
ドローンはインフラ点検・農業・物流・防災など、幅広い分野で活用が広がっています。それと同時に、機体がどの国で作られ、どこにデータが送られているのかという「出所」への関心も高まっています。国内では、重要施設の周辺での飛行を制限する法律の運用や、防衛装備庁による無人機対策の強化など、ドローンを安全保障の観点から捉える動きも見られるようになりました。
こうした背景のなかで、日本製のドローンの情報を探す方が増えています。ドローンの登録・認証制度は具体的にどうなっているのか。国産メーカーにはどのような企業・製品があるのか。本記事では、制度の基本、国産ドローンが注目される背景、主要な国産メーカーの最新動向、導入時に押さえておきたいポイントを、2026年9月時点の情報をもとに整理します。
- 迎撃ドローン早期取得プログラムでテラドローンが量産調達契約を締結(2026年8月25日)、9月にも海上自衛隊への納入を予定
- 小型無人機等の飛行禁止法が2026年7月14日に改正施行、空港周辺の規制範囲は300mから1000mへ拡大
- ACSL・テラドローン・NTT e-Drone Technologyの3社とも、直近に新展開を発表
日本製ドローンが話題になる背景
ドローン市場では、これまで海外メーカー製の機体が広く普及してきたといわれています。一方近年は、重要インフラの点検や防災、公共分野でのドローン活用が進んでいます。これにともない、機体の設計・製造元やデータの取り扱いに対する関心が高まっています。
後述するとおり、国内では重要施設周辺での飛行を制限する法律の運用や、防衛装備庁による無人機対応能力の強化といった動きが見られます。これらは直接「国産ドローンへの切り替え」を定めたものではありません。ただしAISでは、こうした一連の動きがドローンという機器そのものへの安全保障上の関心を高め、結果として「日本製ドローン」という言葉への注目につながっていると分析しています。
ドローンに関する主な登録・認証制度
まず押さえておきたいのが、ドローンの飛行に関する国の制度です。これはメーカーや原産国を問わず、日本国内で機体を飛行させる場合に共通して関わってきます。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 機体登録制度 | 屋外で飛行させる100g以上のドローン・ラジコン機はすべて登録が必要 |
| 機体認証・型式認証制度 | 無人航空機の強度・構造・性能を検査し、安全性を確保する認証制度 |
| 操縦者技能証明制度 | 無人航空機を飛行させるために必要な技能を有することを証明する資格制度 |
| レベル4飛行制度 | 有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を可能にする制度 |
機体登録制度
国土交通省によると、屋外を飛行させる100g以上のすべてのドローン・ラジコン機は、機体登録が義務付けられています。制度は2022年6月20日から開始されました。登録されていない機体の飛行は禁止されています。
登録は「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」でオンライン申請ができます。本人確認にはマイナンバーカードや運転免許証などが利用できます。登録記号の機体への表示や、一定の条件下でのリモートID機能の搭載も求められます。登録の有効期間は3年で、更新申請が可能です。
機体認証・操縦者技能証明・レベル4飛行
機体登録に加えて、より高度な飛行を行う場合に関わるのが「機体認証・型式認証制度」と「操縦者技能証明制度」です。
国土交通省の説明によると、機体認証制度は「無人航空機の強度、構造及び性能について検査を行い、機体の安全性を確保する認証制度」です。個別の機体を検査する「機体認証」と、量産機について型式ごとに検査する「型式認証」があります。飛行の種類に応じて、立入管理措置を講じない特定飛行向けの第一種認証と、立入管理措置を講じた特定飛行向けの第二種認証に分かれ、有効期間は機体認証が1年、型式認証が3年です。なお機体認証は、すべての無人航空機の飛行で必須というわけではなく、特定の条件を満たす飛行が対象となります。
操縦者技能証明制度は「無人航空機を飛行させるために必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する資格制度」です。
これらの制度が整ったことで、2022年12月5日に「レベル4飛行」制度が開始されました。レベル4飛行とは、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行のことです。国土交通省によると、荷物配送や建設現場の測量、災害時の救助活動、橋梁や施設の保守点検など、従来のレベル1〜3では実現できなかった用途への活用が期待されています。
これらの制度は機体の原産国を区別するものではありません。ただし機体認証の取得状況は機種ごとに異なるため、どの機体を選ぶかを検討する際は、認証の取得状況を確認することが実務上のポイントになります。
国産ドローンメーカーの動向と製品例
「日本製ドローン」といっても、国内には産業用途に特化した複数のメーカーが存在します。ここでは、公式サイトで事業内容を確認できる5社の例を紹介します。
| 企業名 | 主な製品・サービス | 直近の主な動き |
|---|---|---|
| ACSL | 国産産業用ドローン「SOTEN」、次世代小型空撮機体(SBIRで開発中) | NEDOの経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプログラム)でPreferred Networksと共同開発中の自律・分散制御技術について、航路の自動生成デモが可能な段階に到達したと発表(2026年9月10日) |
| テラドローン | 測量・点検・運航管理(UTM)・農業に活用される「Terra Lidar」シリーズ等 | 防衛装備庁向け国産ドローン「モジュール型UAV(汎用型)」(Terra D1)300式の製造・検査と、防衛装備庁による監査を完了し、出荷準備まで進んだと発表。防衛用ドローンを年間1,800台量産できる事業基盤を構築(10月5日)。これに先立ち、迎撃ドローン量産契約締結(8月25日)、防衛用フライトコントローラー「Terra DFC」の自社開発・量産体制構築などを発表(9月14日) |
| NTT e-Drone Technology | 機体・操縦者・データ解析までを一括提供する「おまかせeドローン」 | 鳥獣害対策ドローンの用途拡張(6月)、下水道点検DXの実証を本格化(8月)に続き、忌避レーザー搭載の新製品「たおれん棒(鳥獣害対策タイプ)」を発表(9月8日、9月30日発売予定) |
| 楽天ドローン | 外壁調査・ドローンスクール・空撮・マッチング・無人配送等の6サービス | AI画像解析を活用した「AI外壁調査」サービスの提供を開始(2026年2月17日)、ドイツの防衛スタートアップとの提携報道(8月) |
| プロドローン | 大型産業用ドローン「PD6B-CAT3」など自社開発機体 | 経済産業省の供給確保計画認定を取得(9月2日)、豊和工業への第三者割当増資による量産工場新設を発表(9月7日) |
ACSLは、国産産業用ドローンの開発を手がける企業です。同社は経済産業省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」に2023年10月に採択され、2023年11月から次世代小型空撮機体の開発を進めています。2025年8月29日には、開発中の同機体について各省庁の担当者50名超が参加する進捗確認会を実施し、飛行デモや意見交換を行いました。(参照:ACSL、SBIRにて開発中の次世代小型空撮機の省庁向け開発進捗確認会を実施 | ACSL)
さらに2026年9月10日には、Preferred Networksと共同で取り組む国立研究開発法人NEDOの「経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプログラム)」の一環である「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」について、AIを活用した自律制御・分散制御技術の進捗として、航路の自動生成デモが可能な段階に到達したと発表しました。(参照:ACSL、NEDO K Program『小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発』において航路の自動生成デモが可能な段階に到達 | ACSL)
テラドローンは、測量・災害復旧、点検、運航管理(UTM)、農業、防衛など複数の事業領域を持つ企業です。同社は2026年8月25日、防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」に基づく量産調達契約を締結したと発表しました。(参照:テラドローンが防衛装備庁の迎撃ドローンを受注 9月にも海自に納入 | 日本経済新聞)
8月31日には、レーダーやRF、電子光学センサーなどを組み合わせて不審なドローンを検知・追跡するC-UAS(対ドローン)システムの開発着手も発表しており、エネルギー・電力・空港・港湾といった重要インフラの常設防護への展開を視野に入れているとのことです。(参照:C-UASシステム開発開始 | Terra Drone Corporation)
さらに同社は、2026年9月14日の連結決算の発表に合わせて、防衛用ドローン向けの国産フライトコントローラー「Terra DFC」の自社開発、海外防衛企業との協業を相次いで発表し、防衛事業へ注力する姿勢を明確にしました。決算時の発表については下記記事をご覧ください。
NTT e-Drone Technologyは、機体の準備からパイロットの手配、航空法対応までをまとめて提供する「おまかせeドローン」を展開しています。2026年6月には鳥獣害対策ドローン「BB102」が消毒剤・石灰散布にも対応できるよう機能を拡張したほか、8月には埼玉県との下水道管路マネジメントに関する共同研究で「工程一体化DXモデル」の実証を本格化させたと発表しました。(参照:報道発表 | NTT e-Drone Technology)
さらに2026年9月8日には、株式会社ミラテクドローンとの共同発表として、鳥獣害対策の新製品となる、最大約8mまで伸長するロッドの先端に忌避レーザーユニットを搭載した「たおれん棒(鳥獣害対策タイプ)」を発表し、2026年9月30日に発売予定であることを明らかにしました。ドローンそのものではなく、足場や高所作業車を使わず地上から一人で扱える携帯型の機器であり、既存のレーザー忌避ドローン「BB102」に続く、鳥獣害対策の製品ラインナップ拡充の動きといえます。(参照:忌避レーザー搭載「たおれん棒(鳥獣害対策タイプ)」を発売 | NTT e-Drone Technology)
楽天ドローンは、楽天グループの完全子会社として、外壁調査・ドローンスクール・空撮・マッチング・無人配送等6つの事業を展開する企業です。2026年2月17日には、AI画像解析を組み合わせた「AI外壁調査」サービスの提供を開始しています。同社によると、ひび割れなどの検出作業にかかる解析時間を従来比で約48%削減し、平米単価150円(税抜)からの提供を実現したとのことです。(参照:楽天ドローン、AI画像解析を活用したドローン外壁調査サービス『AI外壁調査』を提供開始 | 楽天ドローン株式会社)
また、楽天ドローンは8月、ドイツの防衛スタートアップ、ヘルシング(Helsing)と提携し、同社が開発する攻撃型ドローンを陸上自衛隊向けに提案が報じられています。
プロドローンは、愛知県名古屋市を拠点に産業用ドローンの自社開発を手がける国産メーカーです。2026年9月2日には経済産業省の「供給確保計画」の認定を取得したと発表し、上限15億円の助成を受けて2029年3月時点で年間58,000機の生産能力達成を目指す方針を示しました。(参照:経済産業省「供給確保計画」の認定について | プロドローン公式サイト)
さらに9月7日には、豊和工業への第三者割当増資を受けて同社敷地内に「Prodrone第1量産工場」を新設すると発表するなど、量産体制の構築を加速させています。(参照:豊和工業内にProdrone第1量産工場を新設 | プロドローン公式サイト)
安全保障の観点から見るドローンを巡る動き
ドローンを安全保障の観点から捉える動きとして、2026年は特に大きな進展がありました。
まず、内閣官房・警察庁が所管する「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)について、警察庁によると2026年7月14日に「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第47号)が施行されました。改正後は対象施設の周辺地域(イエローゾーン)がおおむね1,000mに設定されているほか、「対象特別要人所在施設」「国際会議の準備・運営のための会議場施設等」が令和8年改正で新たに規制対象に加わったことが明記されています。あわせて罰則も見直され、違反時は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に整理されています。(参照:小型無人機等飛行禁止法 | 警察庁)
同時期には、成田・羽田・関西など主要8空港の周辺についても、小型無人機の飛行禁止区域をおおむね300mから1000mへ拡大する改正が2026年7月14日付で施行されており、重要施設・空港のいずれについても規制範囲を広げる法整備が一体的に進んだことがうかがえます。(参照:飛行ルール | 国土交通省)
もう一つの大きな動きが、防衛装備庁の「迎撃ドローン早期取得プログラム」です。同プログラムは2026年6月、自爆型無人機などへの対処能力を短期間で確保することを目的に立ち上がりました。7月15日には実証試験を受託する4機種が決定し、海上自衛隊による実証試験を経て、8月25日にテラドローンとの間で量産調達契約が締結されました。
防衛装備庁がどのような組織で、どういった調達を担っているかは、以下の記事で解説しています。
こうした無人機対処関連の取り組みは、令和9年度(2027年度)の防衛費概算要求の議論とも関連する動きとして注目されています。予算面の全体像については、以下の記事もあわせてご覧ください。
これらはいずれも「ドローンをどう飛ばすか・どう対処するか」に関する制度・調達の動きであり、機体の原産国そのものを直接規定するものではありません。ただしAISでは、規制範囲の拡大や無人機対処能力の強化といった一連の動きが、ドローンという機器の安全保障上の位置づけへの関心を一段と高めていると見ています。その結果として、機体の出所やデータ管理の透明性を重視する動きにつながっていると考えられます。
- 小型無人機等飛行禁止法の改正施行(空港周辺は300m→1000mへ拡大、2026年7月14日)
- 迎撃ドローン早期取得プログラムでテラドローンが量産調達契約を締結(8月25日)
- テラドローンが重要インフラ向けC-UASシステムの開発に着手(8月31日)
- ACSLが次世代小型空撮機体の開発試作機を展示会に出展(7月)
- NTT e-Drone Technologyが鳥獣害対策ドローンの用途を拡張(6月)
導入・選定時に押さえておきたいポイント
自社や自組織でドローンの導入を検討する場合、機体が「日本製」かどうかだけでなく、以下のような観点をあわせて確認することが実務上重要です。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 機体認証の取得状況 | 導入予定の機種が国の機体認証制度に対応しているか |
| 操縦体制 | 操縦者技能証明を持つ人材による運用体制が整っているか |
| データの取り扱い | 飛行データ・画像データの保存先や管理方法が明確か |
| 保守・サポート体制 | 国内での修理・部品供給・アフターサポート体制があるか |
| 飛行禁止区域への該当有無 | 運用エリアが改正後の重要施設・空港周辺の規制範囲に含まれないか |
特に重要施設周辺での運用や、公共性の高い業務での活用を想定する場合は、機体そのものの性能に加えて、データ管理体制やサポート体制、そして前述の規制範囲拡大を踏まえた運用エリアの確認まで含めて検討することが望ましいといえます。
テラドローンのC-UASシステムのように、「無人機を飛ばす技術」と「無人機に対処する技術」の両方を同じ企業が手がける動きは、今後さらに広がる可能性があります。AISとしては、ドローン導入を検討する企業・自治体が、自社の機体運用だけでなく、周辺の無人機リスクへの備えという視点もあわせて持つことが、今後より重要になっていくと見ています。
まとめ:日本製ドローンとどう向き合うか
ドローンの登録・認証制度は、機体の原産国を問わず共通して適用される仕組みです。一方で、重要施設・空港周辺の飛行規制強化や、迎撃ドローン早期取得プログラムの具体化など、ドローンを安全保障の観点から捉える動きが2026年に入って一段と広がりました。これが機体の出所やデータ管理への関心、ひいては「日本製ドローン」への注目につながっていると考えられます。国内にはACSL、テラドローン、NTT e-Drone Technology、楽天ドローン、プロドローンのように、産業用途に特化した国産メーカーも存在し、それぞれが直近も新しい動きを見せています。
導入を検討する際は、「国産かどうか」という一点だけでなく、機体認証の取得状況、運用体制、データの取り扱い、サポート体制、そして規制範囲の変化まで含めて総合的に判断することが実務上のポイントです。物流分野でのドローン活用など、関連するテーマについては以下の記事もあわせてご覧ください。