スカイフォール社(SkyFall)とは?防衛省が取得契約したウクライナ迎撃ドローン企業を解説

スカイフォール社(SkyFall)とは?防衛省が取得契約したウクライナ迎撃ドローン企業を解説

2026年10月9日の閣議後会見で、小泉防衛相はウクライナのスカイフォール社との迎撃用ドローンの取得契約を締結したと発表しました。ロシア・ウクライナ戦争では、ドローン攻撃への対処が焦点となっており、安価な迎撃ドローンへの関心が世界的に高まっています。日本でも防衛装備庁が迎撃ドローンの早期調達に動いており、この発言は国内外の防衛ドローンの流れが交わる場面として注目されました。

本記事では、スカイフォール社がどのような企業なのか、これまで日本とどう関わってきたのか、そして防衛省のドローンへの取り組みがどこまで進んでいるのかを紹介します。

この記事のポイント
  • 小泉防衛相が10月9日の会見で、スカイフォール社の迎撃用ドローンの取得契約を締結済みと発言
  • スカイフォール社はウクライナの無人機メーカー。2025年5月の防衛展示会に出展
  • 防衛装備庁(防衛省の外局)は国産のテラドローンとも迎撃ドローンの量産契約を締結

ウクライナ製迎撃ドローンの契約

この発表は、先月末に小野寺元防衛相らがウクライナを訪問したことを受け、ウクライナ製ドローンの導入や技術協力への期待が記者から問われるなかで、小泉防衛相から明らかにされたものです。すでに防衛省はウクライナのスカイフォール社の迎撃用ドローンとの取得契約を結んでおり、「早期の納入に向けて努めている」としています。

小泉防衛相はさらに、ウクライナは新しい戦い方で世界でも経験値が高いと述べ、2、3週間ごとに新たな性能のドローンが出てくる「ラピッド・フィードバック・サイクル」を挙げて、「我々も学ぶべきことは多くあると思います」と語りました。

一方で、契約の締結日や金額、機数、機種名、納入時期は、会見では示されませんでした。防衛省の公表資料でも契約内容は確認できておらず、どの製品が対象なのかは現時点で分かっていません。(参照:小泉防衛大臣 閣議後記者会見(令和8年10月9日) | 防衛省)

スカイフォール社とはどんな企業か

ウクライナの無人機メーカー

引用:エアバス社とのパートナーシップ調印式の様子。右側がスカイフォール社のCEO、ミコラ・マコヴィエイェフ((Mykola Makovieiev)氏、
後列右から2人目はドイツのピストリウス国防相、右端はドイツ連邦軍(空軍)のヨアヒム・カシュケ准将。
Airbus and SkyFall form strategic alliance to advance European and Ukrainian defence innovation | Airbus

スカイフォール社(SkyFall)は、ウクライナの軍事技術分野のスタートアップ企業です。2026年10月時点で公式ホームページは存在していません。

提携企業や関連企業から得た情報を集約すると、スカイフォール社は2022年に設立され、CEOはミコラ・マコヴィエイェフ(Mykola Makovieiev)氏、独自のR&D(研究開発)拠点と生産設備を持つとされています。

2025年5月には楽天のスタートアップ支援プロジェクト「Brave 1」の支援を受け、日本で開催された防衛・安全保障総合展示会「DSEI Japan 2025」に出展経験もあり、楽天グループは同社をウクライナ最大のUAV(無人航空機)メーカーと紹介しています。(参照:SkyFall | Bavovna.ai、楽天とBrave1、ウクライナのスタートアップ企業支援で協力 | 楽天グループ、Airbus and SkyFall form strategic alliance | Airbus)

主な製品ラインナップ

公式サイトがないため、こちらも他社サイトによる非公式情報となりますが、現在確認できている主な製品は次の3つです。

製品名 種類 特徴
Vampire 6ローターのマルチコプター 飛行距離は最大30km、多用途
SHRIKE 高速FPVドローン 機動性と精度を兼ね備える。ロシアの自爆型UAVの迎撃を目的とした小型機
P1-SUN 迎撃機 シャヘド(イラン製の自爆ドローン)迎撃機

FPV(First Person View)とは、機体のカメラ映像を見ながら人が一人称視点で操縦する方式のドローンを指します。防衛研究所のコメンタリー(レポート)では、前述のDSEI Japanで実機を見た上で、Vampireを「市販部材や3Dプリンター製部品を使用した高い生産性と汎用性を追求した設計」だったと記しており、量産のしやすさが特徴とされています。(参照:展示会から見る防衛産業と国際政治 —— DSEI Japan 2025 | 防衛研究所)

エアバス社とのパートナーシップ

航空機等の製造を手がけるエアバス社は2026年6月12日、ベルリンで開かれたILA(国際航空宇宙展)で、防衛および宇宙分野を手がけるAirbus Defence and Spaceとスカイフォール社が、ドイツのピストリウス国防相のもと、戦略的パートナーシップに向けた覚書(MoU)に署名したと発表しました。

この発表でスカイフォール社のCEOであるマコヴィエイェフ氏は、同社の迎撃機が実戦環境で1万機を超えるロシア製ドローンを無力化したと述べています。ただしこれは同社側の主張であり、事実関係の裏付けとなるようなデータは現時点では公開されていません。(参照:Airbus and SkyFall form strategic alliance | Airbus)

訓練機関:スカイフォール・アカデミー

引用:Calian and SkyFall sign strategic agreement to advance drone-enabled defence training and operational readiness | Calian

スカイフォール社は、ウクライナ国防省の認定を受けた訓練センター「スカイフォール・アカデミー(SkyFall Academy)」も運営しています。無人システムの訓練に特化した機関で、同社の発表によれば、過去3年間でウクライナ軍の3万人以上を訓練してきたとされています。

2026年9月16日には、カナダ・オタワに本社を置く防衛・宇宙企業のCalian(カリアン)と、無人システムの訓練と即応態勢の強化に向けた戦略的パートナーシップを発表しました。カリアンは、カナダ軍や英国陸軍、NATOなどに向けて、40年以上にわたり軍事訓練やシミュレーションを手がけてきた企業です。

両社は、カナダと英国、NATO加盟国、同盟国の軍隊向けに、無人システムの訓練・教育プログラムを共同で開発・提供するとしています。スカイフォール側はウクライナでの運用経験や技術を、カリアン側は国際的な訓練の設計・運営のノウハウを持ち寄り、経験を双方向で交換する形です。この発表の前週には、ウクライナとカナダが「100年パートナーシップ」に関する宣言などに署名しており、今回はその流れを受けた動きです。なお、「3万人以上」の訓練実績は同社側の発表で、訓練の開始時期や規模などの詳細は、現時点では示されていません。(参照:Calian and SkyFall sign strategic agreement to advance drone-enabled defence training and operational readiness | Calian)

日本との関わりを時系列で追う

スカイフォール社と日本の接点は、2025年の展示会から始まっています。公開情報で確認できた流れをまとめると、次のとおりです。

時期 出来事
2025年5月20日 楽天とBrave1がウクライナのスタートアップ支援で協力すると発表
2025年5月21〜23日 DSEI Japan 2025にスカイフォール社が出展(「Brave1 Powered by Rakuten」ブース)
2025年7月8日 防衛研究所がDSEI Japan 2025の分析で、SkyFallの展示に言及
2026年6月12日 欧州でAirbusとの覚書に署名(日本ではなく欧州での動き)
2026年10月1日 自民党の小野寺五典元防衛相がキーウでゼレンスキー大統領らと会談
2026年10月9日 小泉防衛相が会見で取得契約の締結に言及

Brave1は、2023年に設立されたウクライナ政府の防衛技術クラスターで、民間スタートアップの支援を担います。楽天の発表によると、DSEI Japan 2025の「Brave1 Powered by Rakuten」ブースには6社が出展し、スカイフォール社がその1社でした。(参照:楽天とBrave1、ウクライナのスタートアップ企業支援で協力 | 楽天グループ)

DSEI Japanは防衛装備品の国際展示会です。NIDSのレポートによれば、この年は三菱重工業が無人機のコンセプトモデルを、川崎重工業が「連携無人機(支援型)」を展示しました。日本の新興企業向けの「Japanese New Comerゾーン」も設けられ、26社が出展しています。スカイフォール社の小型ドローンが、ウクライナの現場を踏まえた対抗手段として日本の関係者の目に触れた場でもありました。(参照:展示会から見る防衛産業と国際政治 —— DSEI Japan 2025 | 防衛研究所)

楽天は防衛分野で他にも動いています。独ヘルシングとの提携については、以下の記事をご覧ください。

小野寺氏の訪問で何が語られたか

共同通信の配信によると、キーウを訪れた小野寺五典元防衛相は2026年10月1日、ゼレンスキー大統領やフマラ国防相と会談しました。小野寺氏は記者団に、ウクライナ側から無人機迎撃の技術開発などで協力を求められたと明かしています。ロシアがジェットエンジン搭載の高速無人機を多用している状況や、弾道ミサイルへの対応に苦慮しているとの説明もあったといいます。小野寺氏は、年末の安全保障関連3文書の改定に向けて、得た知見を党内の議論に生かしたい意向を示しました。(参照:ゼレンスキー大統領、小野寺氏に無人機の技術開発協力要請 | 産経新聞(共同))

防衛省・防衛装備庁のドローンへの取り組み

ドローンをめぐっては、スカイフォール社の件より前から国内で動きがありました。防衛装備庁は今年に入り、公募から導入までおよそ3カ月という短期間の迎撃ドローンの早期取得プログラムを進めてきました。

このプログラムには38社から応募が寄せられたとされ、うち4社の実証実験を経て、テラドローンの迎撃ドローン「TerraB1」が選ばれました。同社は今年10月には、防衛装備庁向け国産ドローン「モジュール型UAV(汎用型)」(Terra D1) 300式の製造・検査と、防衛装備庁による監査を完了し、出荷準備まで進んだと発表したことを発表しています。(参考:テラドローン、防衛装備庁向け国産ドローン300式の製造・検査を完了~防衛装備庁による監査を経て出荷準備を完了、防衛用ドローンの国内量産・供給体制を構築~ | TerraDrone株式会社)

日本の防衛省・防衛装備庁のドローン調達は、現在確認できているだけで国内企業との量産契約と、今回会見で明かされたウクライナ企業との取得契約が並行して存在する形になります。

さらに、今月からは防衛省版SBIR制度の募集も開始し、陸上自衛隊の使用を前提とした迎撃用ドローンが対象項目に入っています。防衛省版SBIR制度については、下記の記事をご覧ください。

テラドローンの防衛事業の詳細は、次の記事で解説しています。

まとめ:ドローンに関わる企業への示唆

小泉防衛大臣が挙げた「2、3週間ごとに新たな性能を持ったドローンが出てくる」開発サイクルは、戦時下にあるウクライナ特有の動きとも言えますが、防衛装備庁の早期取得プログラムが示すように、調達と改良のスピード感が防衛ドローンの競争力を決めることを示唆するものです。年末には安保3文書の改定も控えており、実戦経験から得た技術や知見を国内の産業基盤や運用にどう取り込むかは、引き続き注目点です。

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AISブログ編集部

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