【速報】令和9年度防衛予算概算要求の内容を解説、新組織設立も

【速報】令和9年度防衛予算概算要求の内容を解説、新組織設立も

防衛省は2026年8月、令和9年度(2027年度)予算の「概算要求」として、「防衛力の変革に向けた予算 令和9年度概算要求の概要」を取りまとめました。(参照:防衛力の変革に向けた予算 令和9年度概算要求の概要 | 防衛省)

今回は金額の規模そのものより、現行の「三文書」(国家安全保障戦略・国家防衛戦略・防衛力整備計画)を改定し、5年以内に防衛力を変革するとした方針が新たに示された点が最大の注目点です。本記事では、2026年8月時点で判明している内容を整理します。

この記事のポイント
  • 令和9年度防衛関係費の概算要求は88,908億円、伸び率は前年度比+0.9%にとどまる
  • 三文書改定と「5年以内の防衛力変革」方針を新たに明記、多くの事業が金額未定の「事項要求」に
  • 重視分野を「3本柱・9項目」に再編、新たに「太平洋・シーレーン防衛」を新設

概算要求の規模と伸び率の鈍化

令和9年度概算要求は、防衛力整備計画の対象経費(歳出ベース)で約9兆円、契約ベースで約8兆円とされ、うち多くが金額未定の事項要求です。防衛関係費全体の歳出予算は88,908億円で、令和8年度予算の88,093億円から815億円増(+0.9%)にとどまりました。

比較として、令和8年度の概算要求時点は前年度比+4.4%(88,454億円)だったため、要求段階の伸び率としては小さくなっています。ただし事項要求が多いため、三文書改定の内容次第で予算編成過程において上乗せされる可能性がある点には注意が必要です。

最大の特徴は「三文書」改定と5年以内の防衛力変革

今回最大の特徴とされるのが、2022年12月に決定された現行の安保三文書について、策定当時の想定を超える速度・複雑さで安全保障情勢が変化しているとして改定し、5年以内に防衛力を変革することで抑止力・対処力を強化する方針が新たに明記された点です。

令和9年度中に着手すべき事業は金額を積み上げる一方、三文書改定の内容に左右されると見られる事業は、あえて金額を示さない事項要求として整理し、予算編成過程で検討するとしています。

重視分野の再編、「太平洋・シーレーン防衛」を新設

重視分野の枠組みも見直されました。令和8年度資料の「7つの重視分野」(スタンド・オフ/統合防空ミサイル防衛/無人アセット/領域横断作戦/指揮統制・情報関連機能/機動展開・国民保護/持続性・強靱性)に代わり、令和9年度資料では「①新しい戦い方への対応(AI・無人アセット・スタンド・オフ・統合防空ミサイル防衛・宇宙・サイバー)」「②持続的な対応能力(太平洋・シーレーン防衛)」「③防衛力の基盤(防衛生産・技術基盤・人的基盤)」という「3本柱・9項目」に再編されています。

令和8年度概算要求令和9年度概算要求
枠組み7つの重視分野3本柱・9項目
柱①スタンド・オフ防衛能力新しい戦い方への対応
(AI/無人アセット/スタンド・オフ/統合防空ミサイル防衛/宇宙/サイバー)
統合防空ミサイル防衛能力(柱①に統合)
無人アセット防衛能力(柱①に統合)
領域横断作戦能力(柱①に統合、または後述の各要素に再編)
指揮統制・情報関連機能(柱①に統合、または後述の各要素に再編)
柱②機動展開能力・国民保護持続的な対応能力
(太平洋・シーレーン防衛)
柱③持続性・強靱性防衛力の基盤
(防衛生産・技術基盤/人的基盤)

最大の変化点は「太平洋・シーレーン防衛」の新設です。背景として、中国空母の太平洋側への進出が2022年の2回から2025年に5回へ増加し、艦載機の発着艦回数も約320回から約1,460回へ増えたとするデータが示されています。9項目の筆頭にAIが位置づけられるなど、AI活用の推進が前面に出ている点も特徴で、内部部局の体制強化(局新設を含む、名称はいずれも仮称)も新たに打ち出されました。

主な新規事業と新法人の設置

新規事業としては、水中発射型極超音速誘導弾の開発着手、次世代AIプラットフォーム「AIオーケストレーター」の構築(いずれも事項要求)、ドローン・スウォーム攻撃への対処にあたる近距離対空システム(CRADS)の開発などが挙げられています。あわせて、防衛生産基盤強化・装備移転・防衛イノベーション促進を一体的に進めるため、国の関与を担保した新たな法人の設置や、GOCO(国有施設民間操業)制度の創設も盛り込まれました。

現時点で分かっていること

2026年8月時点で公表されているのは、防衛省が8月末に財務省へ提出する概算要求段階の規模・方針・重視分野・新規事業の内容です。防衛関係費全体の伸び率が+0.9%にとどまる一方、三文書改定を見据えた事項要求が多く含まれています。

今後見込まれること

概算要求はあくまで要求段階の数字で、年末の予算編成過程・国会審議を経て確定します。三文書の改定自体も本年(令和8年)中に行われる見通しで、その内容次第で事項要求の具体的な金額が今後定まっていくとみられます。最終的な伸び率や個別事業の規模は、現時点では未確定であることに留意が必要でしょう。

下記記事では、令和8年度予算をモデルケースに、防衛予算の見方を紹介しています。それぞれの用語の違いを押さえておくと、今回のような発表内容をより正確に読み解けます。

そのほか、令和9年度概算要求に関しては外務省や内閣官房、国土交通省など他省庁も同時期に公表しています。あわせて以下の関連記事もご覧ください。

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AISブログ編集部

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